木造新築防音室

木造の新築防音室で特に注意しなければならないのは、床や壁が共振するピアノ、チェロ、ドラム、マリンバ、コントラバスなどの音楽室、リトミック教室です。

空気伝播音ばかり意識して遮音材にシフトした防音構造を造ると、固体伝播音が室外に大幅に漏れます。

 

このため、下地補強とともに、固体音を抑える絶縁材・制振材の併用が不可欠です。

新築では、あらかじめ表層材を施工する前に防音材や音響を考慮した木製ボードを先に施工する必要があります。

また、ピアノ防音室の床には軽量衝撃音対策用の遮音フローリングは使用しても意味がありません。ピアノの重量衝撃音(固体伝播音)の防音効果にプラスにならないからです。

 

後付で追加対策を行うと無駄な費用が発生するだけでなく、室内が狭くなりますので、出来る限り新築時に計画的に施工する必要があります。

また、木造のピアノ防音室は、プロのピアニストによると、木造建物そのものが楽器のように一体となって鳴ると言います。上記の画像は、あるプロピアニストと作曲家から依頼された事例です。音響と防音性能を最適化できるのが木造軸組在来工法の建物の特長です。

同時に床下換気や壁内通気層を確保することにより、木造の寿命を永くする工法が重要です。

 

防音設計は以上の諸点を踏まえたうえで、適切な防音構造を構築するための技術です。

下地の剛性補強

天井・壁・床の軸組などの下地材を補強すると、剛性・制振性が高まり、楽器などの固体音や音圧に対処しやすくなります。

見えない箇所にこそ、十分な配慮が必要です。木造の特長を活かすことが重要です。

防音材の複合化

複数の特性の異なる遮音・制振材や軽量な吸音構造を一体的に構築する多層構造は、質量則を大幅に上回る防音効果が出ます。

幅広い周波数帯に対処できるため、色々な楽器のアンサンブルに対応できます。

木製品・無垢材

床のフローリングや壁の表層材に無垢材を活用したり、軟質シージングボード、合板などを複層化すると、快適な音響創出に役立ちます。

また、木製板材は表層を更新しやすく、リフォームや音響調整の自由度を高めます。