防音材には特性(周波数ごとの透過損失や制振性能、吸音率など)があります。
ガラス、石膏ボード・合板など一般的な建築材料や吸音断熱材のほか、専門的な防音材を含めて素材には周波数特性があります。
遮音性能(透過損失)、吸音率は周波数帯ごとに異なり、同種の素材でも厚さや密度・柔軟性によって違います。
下図のようにボード類と遮音材の組合せだけで相乗効果が出る場合があります。
*逆に硬質遮音材(石膏ボード、セメント板など)は重ねても相乗効果は殆どありません。
ちなみに、戸外から聴こえてくるノイズや自然界の音にも周波数特性があります。そして聴こえ方や体感は個人差があり、低周波音については年齢に関係なく気になる人は非常に気になる音なのです。
市販されている防音材を含めて、下図のように周波数ごとに遮音性能(透過損失)が製品ごとに異なります。右肩上がりの遮音性能をもつ防音材もあれば、複数の弱点をもつ製品もあります。
石膏ボードのような硬質の遮音材には、通常ガラスと同様に、一般的にいくつかの弱点があります。これを補完するには専門的な防音材(高比重で柔軟性がある製品)が必要です。
防音材の中核をなす遮音材には、遮音ゴム、アスファルトマット・シートなどがあります。
高比重(面密度が高い)で柔軟性があり、振動を制振・吸収する特性をもつ製品が理想的です。
実際の市場では効果的な製品が少なく、遮音効果や耐久性にばらつきがあります。
周波数特性の異なる遮音材を重ねると弱点が補正されるだけでなく、相乗効果が生まれます。
比較的うすい防音構造を構築できます。
ちなみにALCや鉛ボードなど遮音パネルには、柔軟性も制振性もありませんので、弱点や弊害が起きます。
反射音が強い割には、つなぎ目から音漏れするという特性がありますので、要注意です。とくに音楽室や生活防音には不向きです。
一般住宅など木造建物では、防音効果を高めるには吸音材が重要です。
遮音材にシフトした工事を行うと過重量で既存構造にダメージを与えるため、バランスのとれた防音構造が必要です。
その際に活躍するのが吸音材です。防音設計の専門家が多用する吸音材は、ロックウールとポリエチレンウールが一般的です。
新築でもリフォームでも使いやすく、安定した吸音率を確保できるのが特長です。
また、厚さが増すごとに吸音率が向上します。
逆にアクアフォームのような断熱材は吸音性が低く、発泡スチロールやスチレンフォーム・ネダフォームなどの発泡材には吸音性はほとんどなく、逆効果になる場合があります。これらの製品は断熱材であり、防音室には使用しません。
次の画像は黒色が遮音ゴムマット3ミリ、白色が吸音ウール(ポリエステル)50ミリの受注生産品です。
楽器防音室でもDIY防音でも使用できます。